小沢岳と跡倉クリッペ 2018/9/8日

あまり天気は良さそうでは無いようなので、傘を差しても登れるような山にと思い、久し振りに西上州の小沢岳に行くことにしました。普段通りに起きて朝食を済ませ、コンビニで食糧を調達し、いつものように、ドリップコーヒーを飲みながら運転。何でもない事なのですが、コーヒーを飲みながら、これから行く山に想いを馳せ、どんな景色が・・どんな花が 何て考えながら、山に向かう時間が、少しの旅が始まるようで好き時間なのです。

     大日如来が鎮座する小沢岳山頂
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西上州の山にはヤシオツツジの咲くころは毎年出かけていますが、それ以外のシーズンは最近はすっかり御無沙汰しています。

       歩き始めの林道
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群馬に住むようになって最初の頃は、西上州の山ばかり登っていました。当時は「40過ぎたら西上州」なんていう諺まであって、簡単に登れて、それでいて山の雰囲気や姿も良く、毎週のように登っても飽きませんでした、その為、西上州の山は殆ど全部登りました。

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     椚峠付近の登山口
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今日これから登る小沢岳に始めて登った時は、山頂で奥さんとワインなどを優雅に飲んでいる、冨岡から来たと言う夫婦に出会いました。ノドから手が出てしまいそうなくらい、飲みたいなー 何て思っていたら、「いかがですかー 」と紙コップにワインを注いで持って来てくれました。これが実に旨かったー 。処がその方にはその後三ツ岩・笠丸・両神と3周連続して出会い、すっかり山友になりました。

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その後、その冨岡の夫婦の友達で、やはり冨岡に住んでいる、夫婦の方と二組の夫婦を、長野や新潟やアルプスなどあちこちの山に連れて行きました。

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そんな時代から、もう20年近く過ぎました。すでにその二組の夫婦の御主人は、遠い所に旅立ち、今は会うことが出来ません。今でもその頃のことが時々懐かしく想い出します。特に奥方達は角田の雪割草や三峰からの北アルプスのような大展望を眺めた時は、悲鳴のような大きな声で歓声を上げます。その歓声が楽しくて、そんな景色が見えそうな時は、私はわざと後ろにいて、今か今かとその歓声を待っていました。

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     山頂直下
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     小沢岳山頂 1089m と大日如来
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    山頂にある祠
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大日如来像には文化7年と書かれてあります。その頃はロシア軍が通商を迫ったり、シーボルトが日本の地図を外国に持ち出そうとした事件があった頃で、その時のシーボルトの通詞は連座して、冨岡の七日市藩に罪人として預けられましたが、医療に詳しく、近郷近在から病気の方が押し掛けて来たそうです。

     山頂からの景色は 今日は何も見えません
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大日如来像と祠の前に賽銭箱が置かれてありますが、その賽銭箱は山友の冨岡の方が造って置いたものです。この界隈の山には、鹿岳・四ツ又や妙義などにも沢山祠の前に置いてあります。

     大日如来の前で食事をして 下山しました
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夏の終わりの霧雨では なんにも無い今日の山ですが、想い出だけはイッパイある山です。


     下山の頃
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小沢岳に行くには下仁田の跡倉を通り登山口に入ります。途中にはこの辺りにたくさん有る、石灰岩を利用して炭酸カルシュームを作っていた大きな工場もあります。ここには跡倉クリッペと言われている日本ではここにしか無い珍しい地層があります。クリッペとは「根無し山」と言う意味だそうです。根なし山???。

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丁度この辺りには、日本の中央構造線が通っています。ユーラシア プレートと太平洋プレートの衝突するところです。太平洋の海に浮かんでいた島々が1億年前後の時間を旅して、この辺りの上に横滑りして来ました。いままでここにあった地質は、下仁田の青岩公園に今でもある青い色をした岩盤で、その上に太平洋を越えて来た山々が乗っかって出来た山のためクリッペと言われています。上と下の地質が全然違った地質になり、上部の岩や山にはアンモナイトなどの化石も多く発見されています。


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その証拠のある大桑原の褶曲(しゅうきょく)見て来ましたクリッペ形成時期に北から南へ地層が押しかぶさった所です。岩々が丸く、ひらがなの「の」の字のようになっています。

     大桑原の褶曲
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次に 宮室の逆転層を見て来ました。水の中で砂や泥がたまると、大きい粒は下に、細かい粒は上にたまります。逆転した岩は粒が大きい方が上になっていて小さい粒の岩が下になっています。なぜ逆転したかと言うと。先ほどの褶曲の岩のように、海苔巻き寿司のような丸い岩は、皿に乗せれば ノリは上で米粒はその下ですが、皿に触れている下の方は逆にノリが下で米粒が上になっています。そのように大きな力で押しつぶされて逆転しました。そこには虫が這った跡も残っています。

     宮室の逆転層
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松尾芭蕉の「奥の細道」の冒頭部分は

月日は百代の過客にして、行きかふ年も又旅人なり、と書かれていますが、今日登った小沢岳も遥か遠く一億年の旅をして、今ここに聳えているのでしょうか??。人間の一生の旅はそれに比べれば、一瞬の短い旅ですが、それでもまだまだ旅の途中です。

片雲の風に誘われて漂泊の思いやまず・・・私もそんな気分で山旅を続けます。

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この記事へのコメント

2018年09月09日 12:58
インレッドさんは昨日かな?今日かな?と思っていました。
近場ならご一緒したかったけれど、インレッドさんはお一人で静かに歩くのがお好きだから~。
私も昨日も今日も多少の雨でも歩ける山をと考えましたが、
ちょっと痛い所もあって山はやめました。

近くにいながら跡倉クリッペも見に行った事がありません。
いろいろ勉強になります。
そして富岡のご夫婦のお話も良かったです。
なんだかいろいろありがとうございます。
nori
2018年09月09日 17:26
さすがにインレッドさん。
何も無い登山でも、友情や歴史や山の誕生まで解りやすく説明して戴き、やはり山物語のインレッドさんだけありますね。
2018年09月09日 23:59
<小沢岳に始めて登った時>は相当前だと思いますが・・・その時の事をよ~く覚えておいでなんですね~!!
人との出会いの縁というのは面白いものですね!
最後の写真、ツリフネソウ、コバギボウシ、ホトトギスは分かりますが、左下のは何という花でしょう?
2018年09月10日 09:02
chiakiさん、お早うございます。
さんざん山登りをやっていれば痛い所もあちこちと出てしまいますね。私も足首が痛いので最近はあまり沢登りはやっていません。この辺りは地元中の地元ですね。ジジ岩もババ岩も四ツ又もみんな遠くから流れて来た山なのだそうです。
2018年09月10日 09:07
noriさん、お早うございます。
花も無くて、展望もなくこんな霧の日はブログをアップするのにも苦労しますが、跡倉クリッペは以前から気になっていたのでついでに見て来ました。私も勉強になりましたので、結果的には良かったと思います。
2018年09月10日 09:14
宮星さん、お早うございます。
もう一つの花はカシワバハグマ(柏葉白熊)と言う花です、葉が柏の葉ににています。これに似たモミジハハグマ(紅葉葉白熊)は結構あちこちで見ますが、カシワバハグマはこの辺りではあまり見ません。白熊は良く坊さんが白い毛の着いた短い棒を振り回しますが、あの白い毛の着いた棒のことです。
hana
2018年09月10日 09:17
何もない時期で霧雨でも、こんな素敵なブログになるとは さすがにインレッドさんのブログはすばらしいですね。
nousagi
2018年09月10日 10:50
時がたつと、寂しいことも多くなりますが
長く山歩きをされているから
山を知り尽くしているのはもちろん、
素敵な出会いもたくさんあるようですね。
宝物ですね。
あ、ブログ友も大切にしてくださいね。(笑)
2018年09月10日 19:31
hanaさん、今晩は。
素晴らしいですか、 有難うございます。
勝手に好きな所に行ってアップしているだけなんですが・・。
また懲りずに見て戴けたら嬉しく思います。
2018年09月10日 19:39
nousagiさん、今晩は。
山を忘れたカナリヤでは無くて良かったです。無理をしてでも意を決して山に行けば、やはり良かったと思ったと思います。先日行かれた御荷鉾山の下の三波川の岩石も青い色をしています。その色が元々この地方の地質なのですが、そこに太平洋から流れて来た山々が上に乗っかって今のこのあたりの山になったようです。長瀞も同じく中央構造線の通っている所です。
orihime
2018年09月11日 20:36
西上州のマッターホルンこと小沢岳には、もう7~8年行ってません。
綺麗なお写真拝見したら、又歩いてみようかな・・なんて思ってます。
跡倉クリッペは下仁田ジオパークに選定されてて、自然史博物館で詳細が紹介されてました。
じっくり地層巡りも良いですね。

私も又腰痛が出てしまい、少し山を休んでいました。
今日は湯沢高原のキレンゲショウマを見て来ました。
初見で沢山咲いてて感激でした。ありがとうございました。
2018年09月12日 19:00
orihimeさん、今晩は。
ここの登山口の沢には昔はワサビがイッパイありましたが。今回はありませんでした。たまには地元の山も良いものです。
腰は寝るときになるべく寝返りを何度かした方が良いようです。私は毎朝の散歩のときに鉄棒に30秒ほどぶら下がりを3回やり、屈伸して手の平を地面につけてやはり30秒ほど3回やっています。そうすると腰もかなり軽くなってきます。
歩くのは腰には良いと思いますのでドンドン歩いて下さい。
2018年09月15日 15:06
こんにちは。
今日も余りいい天気ではないですが何処か行ってるのでしょうかねー。
富岡のご夫婦とは偶然裏妙義で会ってインレッドさんの話をしながら歩きました、今は有名なもみじ谷でご夫婦におしるこをふるまったのを思い出します。旦那さんは遠い所に旅立ちましたか?足の速い人でしたがすぐ疲れるようでした。地域の歴史に触れるのもいいですねー。今日は黒うちわで花火撮ってみます。
kyou
2018年09月15日 16:05
こんにちわ
西上州は大好きであちこち歩きましたが、小沢岳はまだ一度しか歩いたことがありません。地味な山だなあという印象でした。
でも、山での楽しい思い出や出会いがあると印象が変わるんでしょうね。
富岡のご夫婦のお話やその後のお付き合いなどもいいですねえ。

跡倉クリッペ、知りませんでした。
山や地層の歴史を知ると、楽しみが増えそうです。
私は西上州の奇岩など見るたびに、なんで困難ができたんだろうと思うばかりで成長がありません。

2018年09月15日 20:09
夢創歩さん、今晩は。
冨岡のかたはその方とはまた違った方です、その方は食道ガンで入院していましたが、少しは元気になったようです。
数秒間シャッターを開けたままにして撮るとノイズ処理に時間がかかると思うので、ノイズ処理をoffにして撮ったほうが良いと思います。
2018年09月15日 20:17
kyouさん、今晩は。
良い旅をイッパイ楽しまれたようですね。
妙義や鹿岳などもクリッペで、この辺りの岩盤の上に流れ着いた山々です。その為西上州の山々は奇岩が多いのだそうです。山の歴史やその土地の歴史を知ると、知らないで登るよりも楽しさが一層増えて楽しくなります。